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2020年1月

2020年1月31日 (金)

アクセルを

とてもどこかに行きたくなる。ほんのひとかけらの勇気(それが一瞬のものであってもかまわない)さえあれば、とりあえずどこかに行くことはできるので、ペダルを漕いだり、アクセルを踏んだりする。

正解はわからないのに、何かを決めなければならない。アクセルを踏まなければならない。それは、たやすいことではない。流れに身を任せるということは、ほんとうはそんなにたやすいことではないのだ。ぜーはーいいながら問いの上を走っていると、星が降ってくる。ぴちょん、ぴちょん、とうつくしい音を立てて降ってくる。暗闇に目が慣れてきたころ、それらが、私が失くしてきたものであることに気付く。しかし、星の降るのを、私にはどうすることもできない。そしてその光景は、これまで見たすべてのもののように鮮やかで、言葉とか光とかにのみこまれてきた気持ちみたいにうつくしかった。

 

窓際のサボテンが花をつけた。『赤毛のアン』で、アンが身に着けることのできないピンク色の花だ。そういえば毎年うちの庭には、ピンク色のチューリップが咲く。チューリップはいちどひらけば散ってしまうけれど、球根はまた力づよく花をひらかせる。チューリップのたたえる光はするどい。だからやさしい。こう見えて私はけっこうピンクが好きなのだ!ピンクのチューリップ、今年も咲いたらいいな。また春に報告します。

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これから咲くであろうつぼみがたくさん!かがやいている!かいちょ

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2020年1月28日 (火)

湖のたりないひとへ

きょうは快晴で(書いていたらくもってきた)入道雲のようなもくもくが立ちのぼっている。こんな雲は遠ざかりやすい。そしてここまであたたかくて晴れていれば、いろんなものが目にはいりやすくていろんなものを思いだしやすい。それは意識的なものではなく、まさによく動く水晶色の雲にはこばれるように、あるいは繊細に揺れる葉の隙間からゆさぶり落ちるように、ふいにやってくる。

山々の中から突然青い泉がこんこんと湧き出すみたいに、何かに包まれている気がする。まだ来ていないその日も、こんな天気であればいいと思う。穏やかだけれど、何かが起こりそうな予感を秘めている。その確信的でない予感は、とてもたのしい。

あちこちでちいさなものが爆発を起こしている。にんげんや猫はあらゆる自然の色に染まり、わたしのからだは小刻みなけいれんをつづけている。雨上がりというものはどうしてこんなにあたたかいのだろう?

こんな日には地層も透明で何億年前のものだって浮かび上がってくる。化石をみつけるのは小さい頃から得意だ。わたしの皮膚はとてもうすいような気がする。答えの出ないとされているものも、海も山もぜんぶ近くに埋まっているような気がする。氷河期から逃れてきた鳥たちは、誰にも気づかれることのない気層を飛んでいる。

こんなに天気がいいとわたしの心はからっぽになる。そこにすこし碧みかかった、透明な水がさらさらと流れこんでくる。

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#きょうのお手々

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2020年1月19日 (日)

短歌シリーズ④

子宮からあなたの声がきこえます お腹がすいているのでしょうか?


メイクしたJKが持つ風船に閉じこめられたすこしのかがやき


極北であなたが夜に染まるころ喫煙ルームにはみだすわたし


じんわりとほっぺの赤いおじさんのハンチング帽に腰かける神


たべかけの弁当持って登る丘 いつものようにあらわれる鵺


いまどこでなにをしていますかあなた?あなたの服にうお座を浮かべる


自転車乗り入れ禁止のアーケードで晴れやかに自転車漕ぐひと


猛獣とウワサの高いマンホール どうぞわたしをたべてください


アーケードの中でのサヨナラは危険です どこにも帰れなくなる


街じゅうに鳴いたり泣きやんだりする鳥たちがいます みんなやさしく


いくつもの足音のなか くたびれたトートバッグにしがみつくいぬ

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2020年1月16日 (木)

短歌シリーズ③

なにひとつ聴こえぬふりして真夜中のホットミルクは回り続ける


ここからはとてもじゃないがわからないあれは飛行機?それともUFO?


問いという大きな海に藍色の船を出すなら明け方がいい


またひとつ何かがおわるぺたんこの靴がわたしに馴染んできたころ


もう何年も会っていないあなたのコートの色が見てみたいのだ


火曜日のふわりと軽いアーケードさむい夜ほど遠くはあかるい


渇いた崖の隙間から祈るように咲くアネモネそれがわたしよ


セーターの緑は深い傷つけた誰かのことを思い出しても

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2020年1月 5日 (日)

明けまして

おめでとうございます。どうか今年も、あいもかわらずどうしようもない私たちのことをあたたたかく見守ってくださいませ。

そして私は今年も、ブログを書きつづけるつもりです。こういうかたちで書くことで、みなさまとコミュニケーションというものをまだしていたいのです。ひとりではブログは書けません。いつも読んでくださるひとりひとりのことを想像して書いています。そして私は、これを書かずにはいられません。

なんだか、みんなに届くように歌うぜ!みたいな感じになっちゃって、勢いとしてはものすごいのだけれど、私はふつうの女です。研究員もみんな、ふつうの女です。スパイスのことなんて知らなくても生きてはゆけるのですが、島ごと沈没しないかぎり、深海にはみずから潜ってゆくしかなく、私たちがほんとうにわかりたい単純なことはそこに潜ることをもってしかつかめないので、今年も研究をつづけます。そして、その潜った先にある小さな場所が、あらゆるところにつながっているのだと信じて、あっぷあっぷしながらも前にすすんでゆきます。互いにどこかあたらしい心でいられたらとてもたのしいことです。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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正月、お散歩に出たら見つけました。かいちょ

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